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危機意識を共有して・・参加する方法 [政治・雑感なぞ]

黒川創が、毎日新聞書評欄「この人・この3冊」(3・11掲載)で、今井一について書いている。

先回更新した「国民としての危機意識を共有し他人事ではなく感じている人」の行動・・と関連しているので以下に引用してみる。

というか、こちらの記事の方が念頭にあって、なにか書こうと思っているところにジェラルド・カーティスの談話が出たので、そちらが先になっただけの話なのだが・・

(以下、引用)

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日本の市民の多くが、原発の安全性に、いまでは不安を抱いている。なのに、「完璧な安全が立証されないかぎり、原発の再稼働はありえません」と、明言する大臣は現れない。選挙で議員となった者と、投票した有権者の考えには、ズレが生じる。選挙という間接民主制のシステムだけでは、公正な社会を実現するのは不十分だという事実も、これは示唆しているだろう。

今井一は、1990年代初頭、ポーランドで湧きおこる独立自治労組「連帯」を取材したことから、フリージャーナリストとしての活動に入った。90年代にかかり、崩壊に向かうソ連邦の下で、バルト三国が独立の是非を問うために実施する国民投票などの模様を、『革命後の風景』で現地から報告している。

国民投票(日本ではまだ一度も実現していない)や住民投票では、主権者一人ひとりが、具体的で重要な案件に、イエスかノーかの判断を下す。つまり、直接民主制である。古代ギリシャ以来、これが民主政治の原点とされてきた。社会の重大な岐路では、そこに立ち返り、主権者全員の参加で下されるべきなのだと、今井という青年は共感とともに学んだのだろう。

なぜなら、そうした参加は、各人の知識と思索も深めるからである。『住民投票』から一例を挙げると、新潟県巻町(現・新潟市)で原発建設の是非を問うために行われた住民投票(96年)では、推進派と反対派が正々堂々と意見を交わしあう集いも町主催で開かれて、満員の聴衆が熱心に耳を傾けた。こうした“自己教育”の重なりが、やがて対立を越え、新しい地域社会の構想も培っていくだろう。『「原発」国民投票』では、海外の実例に照らして、そこでの道筋が語られる。

目下、今井は、市民グループ〈みんなで決めよう『原発』国民投票〉の事務局長をつとめる。昨年暮れから東京都と大阪市で進む、原発稼働の是非を問う住民投票実現に向けての運動では、議会に投票条例制定を請求するために必要な数(全有権者の2%)を超す署名が、すでに集まった。

19世紀フランスの歴史家エルネスト・ルナンは、近代の「国民」を結びつけるのは、「日々の人民投票」、つまり、主体的な参加の意志だと述べた。社会の公正さは、かろうじて、これに支えられている。現代の議員や首長たちにも、そのことに、まっすぐ目を向けてもらいたい。

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「主体的な参加の意志」を「日々」しめすことは大切なことであるし、以上を引用したのもソノことを強調したいがためであるのだが、しかし、あえて「住民(国民)投票」ソノモノについては水を差しておきたい気持ちがする。いわゆる「老婆心」というやつである。

以下は、浜矩子同志社大大学院教授らの意見を載せた当該ブログ過去ログ

http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2007-04-15

http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2007-05-15-1

YouTube「原発」市民投票 作家黒川創氏応援 大阪なんば高島屋前 2011/12/17
(呼びかけにすり抜けていく人々にサビシサを・・)
http://www.youtube.com/watch?v=UCdkencjfJE


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