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2:言論思想統制に抗う教師たち(サンデー毎日記事から) [ニュース・教育]

サンデー毎日(2・12号)掲載

〈『良心に従う』ことの重い意味 言論思想統制に抗う教師たち〉

以下その全文引用。

筆者は(木下昌明)氏

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教育現場で「君が代」に起立しなかった教師(約170人)を巡る最高裁判決があった。教師にとって卒業式は“試練”なのか。卒業シーズンを控え、土井敏邦監督のドキュメンタリー「“私”を生きる」が上映されている。

最近パレスチナ問題を撮りつづけた土井には「沈黙を破る」の傑作がある。その彼が、石原都政下の教育現場での言論・思想統制の厳しさに、右傾化する社会の兆しを見てとって作ったのがこの映画だ。

ここでは強権的な都教委に抗う3人の教師に焦点をあてている。一人は家庭科の根津公子。彼女は不起立などで受けた11回もの処分に「消えてしまいたい」と思いつつもじっと耐え、校門に立ち続けて異を唱えている。二人目はキリスト者としての信仰から「君が代」の伴奏を拒否した音楽専科の佐藤美和子。佐藤はストレス性胃潰瘍で倒れ、自殺寸前まで追い詰められる。最後は、「教員の挙手・採決の禁止」の都教委通達を批判した高校校長土居信雄。彼は言論の自由がなくなれば戦争が起こる」と訴える。

映画は3人の苦しい内面にまで迫っている。3人の抗う姿勢の原点の話が興味深い。例えば教会で育った佐藤には、戦争中に「天皇かキリストか」で牧師が拷問され、獄死した歴史への思いがある。

映画を見ていて、筆者は本誌1月22日号の、作家保坂正康と対談する同志社総長の大谷實の発言を想起した。大谷はこう述べている。

「私は法学者として、個人主義は今の日本社会の価値の根源、憲法の原点でもあると考えているのですが、最近は利己主義に通じるとして批判的に見られがちです。しかし、やはり、一人一人が強く生きるという意味で、流行(はやり)の“絆”や社会の連帯、共生も大切ですが、その前に『良心に従って生きる自治、自立の人間』を目指すことが大切だと言いたいですね」

これは“私”を貫くためにたたかう映画の3人にもそのままあてはまる。




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