エンデュアランス号漂流(アルフレッド・ランシング著) [本・書評]
「南極横断を目指したものの当初の目的を果たせず、命からがら撤退・漂流・生還したノンフィクション」と言ってしまえばソレまでですが、たいへん感動的です。あっという間に読了し、そしてもう一度、さらに原文でも読もうと思っています。
なかなかそんな本に出会えるものではありません。これも写真家・星野道夫さんのおかげです。星野さんのこの本に対する愛情がなければ出版社も動かすには至らず、「知る人ぞ知る」名著で終ってしまったことでしょう。なにしろ、原本の出版年は1959年なのですから。
内容は、命がけの冒険をしている人間が、冒険のさなか「自らを励ます」のに十分なモノをもっています。そのすごさは、実際ご覧になれば了解できるはずです。
読了後、「この感動はどこかで経験したことがあるぞ・・」と、当方は思いました。尋ね当てたのは、トルーキンの「ホビットの冒険:ゆきて帰りし物語」(ISBN:4001140586)です。
「ホビットの冒険」の主人公ビルボも、結局のところ、はじめた当初の目的を成し遂げるに至りません。得たものといえば、数々の冒険の後、大好きな家になんとかたどり着いたことくらいです。もちろん、宝物も名声も手にすることはありません。
それでも、河合隼雄さんは、「物語とふしぎ」(ISBN:4000022938)の中でそのあたりを次のように書いています。
「ビルボと(魔法使い)ガンダルフが故郷に帰ってきたとき、ガンダルフはまじまじとビルボをながめ、『あんたは、どこかえらく変わったなあ!もうむかしのホビットじゃないわい!』と言った。知る人ぞ知る、である。多くの体験に支えられ、ビルボはその存在の重みを感じさせるホビットになった。近所となりのホビットたちが、それを理解せず、『変なひと』と思ったりするのは、致し方のないことである。世の中には、それほど、ふたつよいことはないのである。」
なにやら勝手なことを書きました。風と潮流に翻弄される小舟のように、感動が書かせたものとお笑いください。
なかなかそんな本に出会えるものではありません。これも写真家・星野道夫さんのおかげです。星野さんのこの本に対する愛情がなければ出版社も動かすには至らず、「知る人ぞ知る」名著で終ってしまったことでしょう。なにしろ、原本の出版年は1959年なのですから。
内容は、命がけの冒険をしている人間が、冒険のさなか「自らを励ます」のに十分なモノをもっています。そのすごさは、実際ご覧になれば了解できるはずです。
読了後、「この感動はどこかで経験したことがあるぞ・・」と、当方は思いました。尋ね当てたのは、トルーキンの「ホビットの冒険:ゆきて帰りし物語」(ISBN:4001140586)です。
「ホビットの冒険」の主人公ビルボも、結局のところ、はじめた当初の目的を成し遂げるに至りません。得たものといえば、数々の冒険の後、大好きな家になんとかたどり着いたことくらいです。もちろん、宝物も名声も手にすることはありません。
それでも、河合隼雄さんは、「物語とふしぎ」(ISBN:4000022938)の中でそのあたりを次のように書いています。
「ビルボと(魔法使い)ガンダルフが故郷に帰ってきたとき、ガンダルフはまじまじとビルボをながめ、『あんたは、どこかえらく変わったなあ!もうむかしのホビットじゃないわい!』と言った。知る人ぞ知る、である。多くの体験に支えられ、ビルボはその存在の重みを感じさせるホビットになった。近所となりのホビットたちが、それを理解せず、『変なひと』と思ったりするのは、致し方のないことである。世の中には、それほど、ふたつよいことはないのである。」
なにやら勝手なことを書きました。風と潮流に翻弄される小舟のように、感動が書かせたものとお笑いください。
Endurance: Shackleton's Incredible Voyage
- 作者: Alfred Lansing
- 出版社/メーカー: Basic Books
- 発売日: 1999/03/19
- メディア: ペーパーバック