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東電株主総会の怪奇 [ニュース・社会]

先回、当該ブログに、佐高信さんが、東電の株主総会に出席して得た感想を掲載した。

佐高さんは、次のように言っていた。

「僕は先日、東電の株主総会に行ってきました。脱原発の提案があった時、経営陣はいとも簡単に却下してしまったのにあ然とした。あれだけの事故を起こしたのだから、『検討します』くらい言わざるを得ないんじゃないかと思っていたんですが」

ところがである。「いとも簡単に却下された」のにはチャンとしたワケがあるのである。「東電の怪奇」と当方は感じたのだが、ソレがどうも、日本の株式上場大手企業の“体質”であるようなのである。

以下は、『毎日新聞』7月30日メディア面「時流底流」に掲載された「少数株主への誠意は」と題された記事である。

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福島第一原発事故の最中、注目を浴びた6月28日の東京電力株主総会。過去最多9306人もの株主が集まり、過去最高の6時間9分に及んだ。しかし、こうして会場に足を運び、手を挙げて議案に賛否を表明した個人株主たちは、票数にカウントされていなかった。

総会では個人株主から次々に動議が出され、挙手で採決された。賛否が拮抗しても、議長の勝俣恒久会長は間髪を入れず「反対多数と認めます」と否決を宣言。「きちんと数えているのか」と怒りの声が相次ぎ、開会から4時間半後、会長はようやく「カラクリ」を明かした。「事前に2名の株主から委任状をいただいており、その議決権の数は、当会場にお越しの株主の議決権の過半数を上回っております」

株主は1人1票ではない。持ち株が多いほど多くの票(議決権)を持つ。当日出席者の議決権総数約130万のうち、法人とみられる「2名」だけで107万余り。この代理人2人の挙手さえ確認できれば、他は数える必要がないというわけだ。東電によると、総会後に公表された議案への賛否の数は、大株主の挙手以外はネットや郵便で事前に送られてきた議決権行使書を集計したものという。結果は事実上、総会前に決まっていたのだ。同様の集計は、大手企業で慣例的に行われている。

だが、金融や証券関係者によるNPO「社会的責任投票フォーラム」の河口真理子代表理事は「前近代的な議事運営」と批判する。自身も株主として会場にいた。「入退場はバーコードで管理されていた。電子投票のようなシステムは技術的に可能なはずです」

「脱原発」を求める株主提案を主導した市民団体「脱原発・東電株主運動」は、今月29日までに議案への正確な賛否数などをホームページに掲載するよう東電に申し入れたが、同日夕までに掲載はない。東電グループの企業行動憲章には「広く社会とのコミュニケーションを行い、透明性の高い開かれた企業活動を推進します」とある。少数であっても株主の意向を正確に把握することは、最低限の誠意ではないだろうか」

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これが企業の体質なら、ソレは腐った体質である。東電の憲章云々が引用されているが(どうせ役員会で、役員たちが内発的にみずからの企業の指針として掲げたものではなく、外部のだれかに委託して、御体裁のよい文面をカネで作成させただけのものに相違ないよう当方には思われるが)、憲章を待つまでもなく、株式会社そのものが“おおやけ”のものとしての責任を有しているはずである。社会に貢献すること寄与することが会社登録するときに求められているのではないだろうか。

「腐ってもタイ」・・という言葉もある。

なるほど、「腐ってもタイ」である。

だが、当方は、食わない。


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