SSブログ

フランスの小学校と日本の小学校の英語必修化

最近、フランスの産業界代表が国際会議の席上、英語でスピーチを行なったら、同じ会議に出席していたシラクさんが「フランス語を使わないとはナニゴトカ!」と、怒って席を立ってしまったというニュースがあった。

まあ、そこまでしなくてもと思いもするが、それほどまでに自国語を愛しているということなのであろう。

 

そのフランスの国語教育についてある学者は次のように記している。

「世界中で最も自国語を愛する国といわれているフランスの小学校について、鹿住釈子氏は、「時間割はきまっていないが、カリキュラムや科目はちゃんとある。ただし、正課の3分の2までが国語である。読解、書き方(正字法)、書きとり、作文、口語表現法、文法、活用の暗記、詩の暗誦、というふうに徹底した自国語教育がおこなわれる。

読本もそうだが、フランスの小学校では、本物しか子供に与えない、という印象を持った。やさしく書きかえた抜粋を決して与えない。ことに詩は書きかえがきかないし、子供用に書かれた詩というのもあまりない。・・・ヴェルレエヌ、アポリネエール、ヴェルハァレン、マラルメなどをじかに、生のまま与えるわけである。"意味はわからなくてかまわない。説明もしない。丸暗記して、リズムや雰囲気がつかめればよい"のだそうである」と紹介している(『ママのわがまま留学』冬樹社)。《原田種成著『漢文のすすめ 』》。

 

さて、わが日本で英語を小学校から必修化して国際化に対応しようという動きがあるが・・

どんなものか?

と思っていたら・・・

『国家の品格』の藤原先生が

「『国際化という甘い言葉で、国はいつまで国民をだまし続けるつもりか。社会に出て英語を使う日本人は全体の1割もいるかどうか。小学生全員に英語を強いるのはばかげている。必要とする者だけが一生懸命努力すればいい。」

「確かに、早く始めるに越したことはない。ピアノなどの習いごとと同じだ。問題は、小学校の限られた授業時間で何を優先するかだろう。

『一に国語、二に国語。三、四がなくて五に算数。

それ以外は十以下』と私は考える。英語の優先順位はずっと下だ。」

 

「『英語が話せれば国際人』は大うそ。ペラペラしゃべれても自国の文化や国語を深く知らなければ、世界で相手にされない。」

 

「近代日本の発展の基礎には、江戸時代の寺子屋以来の世界最高水準の初中等教育がある。寺子屋の授業は徹底した『読み書きそろばん』だった。欧米コンプレックスで英語をありがたがる教育者の見識は、寺子屋の師匠の足元にも及ばない。」

と今朝の毎日新聞朝刊に出ていた。

 

 はじめに引用した原田種成氏は、次のように記す。

「前にも書いたが、外国語学部の教授たちが言っている。学生たちは会話は達者になったが、文章を訳させると国語力がないから、訳したものがちゃんとした日本語になっていない、と。」

(因みに、原田種成氏は1911(明治44)年生まれ。引用した『漢文のすすめ』は1992年発行の書籍。)

 

先ずはヤッパリ日本語からか・・・

 

 


nice!(0)  コメント(2) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 2

Zacco

さぼてんさんのブログにコメントをされているのを見て、
訪問させていただきました。

難しい問題ですが、感情的に考えると、
私は英語を使わないフランス人を好意的に見ている者です。
そこに至った背景を理解せずに、
単に「自国語を愛している」という問題では無いと思われます。

他方で、自国の言語が最先端の知識を習得するのに充分な能力を持っているか否か?が重要であり、
現在、知的財産権が叫ばれる中、
英語抜きにそれは無理な状況なのだと思われます。
その点、少数言語である日本語は失格なのではないでしょうか?

学問の自由は常に「宗教的束縛との戦い」であった。
と考えると、フランス革命を起こし、
「学ぶ権利」を戦いから勝ち得たフランス人に、
そのことに想い及ばずに、「知識は与えられるもの」
とばかりに思考停止の日本人が、
意見することさえ僭越だとすら思われます。

外国語云々という前に、
太古よりの、「知識は外国から」という姿勢を正すことが
重要なのだと考えます。

字数が限られた中で、日本語を学ぶ重要性について言及する
スペースが無くなりました。
私見、失礼いたしました。
by Zacco (2006-05-22 14:07) 

環虚洞

Zaccoさんコメントありがとうございます。
小学生に英語を必修化するという問題には賛否両論ありますが、その一翼を担う言説をしている藤原さんの意見と存命中であればそれを支持すると思われる原田種成氏の見解、そして原田さんの著作に引用された鹿住氏の報告するフランスの小学校のカリキュラムのあり方を記しました。もちろん当方もそれに共鳴するところ大と言えるわけですが、だからといって国際語として通用する外国語(特に英語)を学ぶのを否定するものではもちろんありません。
Zaccoさんは、フランス人が、今日もっとも広範に用いられている国際語である英語を使わずに済まそうとするソノ背景にお詳しいようですが「単に『自国語を愛する』以上の」背景的な理由(「『学ぶ権利』を戦いから勝ち得たフランス人」の部分と、その理由が関係してくるように思われますが・・)についてご教示いただければ、また、参考資料として役立つ書籍がございましたら併せてご教示いただければ幸甚です。
by 環虚洞 (2006-05-22 16:12) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。