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民主化できない中国の裏事情 [政治・雑感なぞ]

サンデー毎日(5・21号)に『インサイド中国』という記事が出ている。オモシロイ記事だ。

筆者は上村幸治氏。独協大学教授で、元毎日新聞中国総局長ということだから、中国通であることはマチガイなかろう。

最近の中国の日本バッシングとも言えそうな種々の対応を思い起こしつつ、この記事を見ると「ナーンダ」と思ってしまう。

「中国政府のみなさんもタイヘンなんですね」と同情さえできそうなのである。

 

最近、アメリカに胡錦濤国家主席が訪問した際、数々の「非礼」があったようである。

*法輪功の信者である記者にスピーチを邪魔される。

*中華人民共和国国歌の演奏に際して「中華民国(台湾)国歌」と紹介される。

*国賓待遇では無く、宴会も格下。沿道での国旗を飾っての歓迎無し。

 

「しかし、そうした数々の非礼を中国メディアは一切報じていない。」「中国の知識人らは、そうした事件を知っているが批判できない」

と上村氏は記す。

その理由として、経済・科学面で昇竜のごとくある自国指導者のイメージの失墜をオソレテノことと考えられるが、それだけではないモット深刻な理由があると上村氏は指摘する。

 

そこに中国の裏事情がある。

そして、そのことは中国の民主化を阻んでいる理由とも関係してくるという。

 

上村氏は03年温家宝首相の訪米時の談話を紹介する。

民主化について訊かれ、直接選挙を行なえない理由として温家宝氏は「国民の文化的素養が不十分なので・・・」と答えたということだ。

これが中国の「国情であるとみていいだろう」と上村氏は記す。

 

中国人民の「文化的素養が低い」ところは、中国民衆の「物見高い」ところにあらわれているそうだ。

これには元北京在住現大阪のオバハン(記事には「おばさん」とあります)の証言もある。

「なんかあるとスグ集まってきてタイヘンな騒ぎになる、ウッカリ情報を流すと、すぐ、わあわあ騒いで混乱する」のが「中国の人」なのだそうだ。

 

外国における情報を流すにも演説をするにも一々子どものように大騒ぎをしかねない「物見高く」「文化的素養の低い」自国民の顔色を伺いつつ行なっているということのようだ。

 

いわゆる『烏合の衆』であり『動じて和すことのできない』のが自国民であるという理解を中国政府はもっているようだ。

国民ひとりひとりがキチンと情報を受け留め、咀嚼し、自分の意見をもち、種々の判断をできるほど成熟していない以上、ウカツニ情報は流せないというのが国情のようだ。

世界の要望に応えて民主化の道を歩みだしたいのだが、直接選挙に訴えることができないほど自国民を軽く見ているということらしい。

ムカシの言い方を借りるなら「国は一等国の仲間入りを果たしたが国民は三等である」という認識をもっていると言えそうだ。

そのように見ると日本に対しては高圧的な意見を公式発表し国民の感情を煽る中国政府がアワレにも思える。中国のいまがわかる本 中国路地裏物語―市場経済の光と影


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takepii

こんにちは。これは、そうでしょうね。第3敵国がないと、もともと思想も民族も文化水準もいわんや言語まで違う10億以上(今は13億いるとおもいますが)の国を中国としてまとめている名目だけでは、どうしようもない部分があるでしょうから。ただ、ひとつ残念ながら、日本の過去の行為(その当時の日本人にも言い分はかなりあると思いますが)がそれだけたくさんの思想、民族、文化水準、言語の方々の心に深く根ざしているとも言えますよね、おそらく。
by takepii (2006-05-14 10:06) 

環虚洞

一致のための日本敵国視であり敵国視されるだけの十分の理由がある。順番からいうと敵国視されるだけのモノを日本は中国全土で撒いてきたので、それを日本は、今日のジャパンバッシングというカタチで刈り取っており、中国一致のための礎にされているということですね。ありがとうございます。自分のアタマの中で中国の今がより見えたように思います。観念ではなく実体として中国という国のデカサ、日中関係の歴史の深さが感じられました。地理的にも歴史においても近い国であるだけに「ご近所づきあい」は丁寧になされていく必要があるのでしょうね。
by 環虚洞 (2006-05-14 12:26) 

daioujou

閑居堂さんへ
実は、上村幸治氏の講演会の開催が昨日の毎日新聞の掲載されています。
ご興味がおありでしたら、ぜひご参加して見て下さい。私も行く予定です。

●日時:2008年3月19日(水) 開場6:15PM 開演6:45PM
●会場:大阪科学技術センター(地下鉄:四ツ橋線本町駅下車28号出口より北へ5分)〒550-0004 大阪市西区靱本町1−8−4
http://www.ostec.or.jp/data/access.html
●料金:一般1500円(当日1800円) ローソンでも発売中です。
●タイトル:中国製毒入り餃子事件を考える緊急スペシャルレクチャー
●テーマ:緊急! 毒入り餃子事件と現代中国の社会状況
●講 師:ジャーナリスト(元毎日新聞中国総局長)/獨協大学教授 上村 幸治氏
by daioujou (2008-03-13 19:58) 

閑居堂

daioujouさま
情報ありがとうございます。
残念ながら、当方出席叶いませんが、参加されまして、講演内容等興味深い点ございましたら、ぜひご紹介くださいませ。(貴ブログご紹介いただければそちらにも遊びにまいります。)
by 閑居堂 (2008-03-16 00:50) 

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