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「憲法」とかけて、何と、解く・・・

憲法を何かになぞらえるなら、たとえるなら何になるだろう?

先回の当該ブログ更新をご覧の方は、この記事を書くために、先回どら焼きを話題にしたのかとお思いになるかもしれない。

そんなことはまったくなく、今、ビッグローブニュースのLITERA記事を見て、急に思い立ち、当該記事を書くことにした。要するにコジツケルわけなのだが、それでも、どら焼きと憲法は似ているように思う。

どら焼きのあんこは、和製で、皮のカステラはアチラのものである。要するに、どら焼きは和洋折衷の菓子だ。

日本国憲法も、戦後、アチラの助けによって時の日本政府が作製したことになっている。その和洋折衷憲法によって、戦後ながらく平和を維持してきたことになっている。

もっともこの論議について、最近おもしろい話しを読んだ。橋爪大三郎氏が、「民主主義を考える練習問題が本書には詰まっている」という井上達夫著『憲法の涙』に対する書評である。そこには、「戦後の平和を守ったのは(憲法)9条ではなく、日米安保条約と自衛隊である。徴兵制は、貧困層に負担を押しつける志願制に比べ、民主主義に合致するし、安易な戦争も抑止できる。パルチザンは正規軍に比べ、民主的統制に服さないからはるかに危険である。アメリカは、日米安保条約がなくなれば在日米軍基地を失ううえ、核武装した日本を相手にするのも困るので、集団的自衛権を日本に強く迫るはずがない。著者の考えはまだ少数派かもしれないが、世論が耳を傾けるべき、筋の通った議論ばかりだ」と書いている。

安倍政権は、改憲に向けて虎視眈々であるが、橋爪氏書評によると、ダメの評価が下っている。以下はその理由であるが、護憲派と同じくダメな点で同一なのだという。「安倍政権のどこがいけないのか。本当は改憲したいのに世論を読んで『解釈改憲』ですませようとした。アメリカに捨てられまいと集団的自衛権に踏み込み、実は本気で相手と大人の交渉をしていない。憲法を理解せず憲法をないがしろにしている点は、護憲派といい勝負なのだ」と、ある。

そうなのである。上記書籍では、護憲派も改憲派(安倍政権)もどちらもダメなのである。書評冒頭で橋爪氏は「憲法は泣いている。《護憲派によって、・・・裏切られているから》。そんな馬鹿な、と思うかもしれない。だが本書を読むなら、なるほどと思うだろう」と、筆を起こしている。

どちらも、簡単にいうと「憲法を理解せず憲法をないがしろにしている」ということに帰着するようである。(全文を「つづく」部分に表示)

どら焼きに、戻ってたとえるなら、どら焼きは万人好みであるが、それでも細かい好みはいろいろある。文明堂もいいが中村屋もいい。とかく、あれこれ言うものの、いざ自分で作れるかというと、あんこのことも皮のこともよく知らないので、できない・・というふうにたとえることができるやもしれない。

その書籍を、当方未読である。それでも、橋爪氏のいう「民主主義を考える練習問題の詰まった」『憲法の涙』は読むに値するもののように思う。美味いどら焼きのように、一口ごと、にらめてはうなりつつ食することができるかもしれない。

ABE 米議会スピーチの英語 アミスタッド号事件 自由 Freedom http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2015-05-07


憲法の涙   リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください2

憲法の涙 リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください2

  • 作者: 井上 達夫
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
  • 発売日: 2016/03/16
  • メディア: 単行本



そうそう、LITERA記事のことを書かないといけない。引用したいのは、NHKの世論調査のことである。現在、改憲賛成と反対が拮抗しているという話しなのだが、過去5年の推移をみると・・という話しである。(以下、引用)

NHKが先月4月15日から3日間実施した全国電話世論調査で改憲の必要性を聞いたところ、「改正する必要があると思う」が27%、「改正する必要はないと思う」が31%、「どちらともいえない」が38%だった。一見、両者は拮抗しているように見える。


 だが、実はNHKは2007年から今年で5回同じ質問をしているのだが、「改正する必要はないと思う」の割合が一番高かったのが、今年の調査だったのだ。


 たとえば、第一次安倍政権時の07年のNHK世論調査では、「改正する必要があると思う」が41%で、「改正する必要はないと思う」の24%を大きく上回った。また第二次安倍政権が本格始動した13年調査でも、"必要"42%に対し"必要ない"がわずか16%だった。ところが、14年以降、"必要"が大きく割合を落とし28%、"必要ない"が26%と拮抗、15年もほぼ同じ数字が出た。そして、今年の調査ではついに"必要ない"が僅かながら"必要"を上回ったのである。


 こうした結果が出ているのは、NHKの調査だけではない。たとえば、朝日新聞が今年3月から4月に実施した全国郵送世論調査では、憲法を「変える必要はない」が昨年3月調査の48%から55%に増えた一方、「変える必要がある」は昨年の43%から37%に減少。また、共同通信社が4月末に実施した全国電話世論調査でも、安倍晋三首相の下での憲法改正に「反対」が56.5%で「賛成」の33.4%を大きく上回っている。


 ようするに、安倍政権が、解釈改憲によって強行した安保法制など、その打ち出すタカ派の政策の数々、そして「任期中に着手する」として一方的に改憲へと邁進していることに、国民は明確に危機感を募らせているのだ。それは、立憲主義を無視した暴挙を繰り返す安倍政権への、従来の"護憲派"の枠を超えた国民のアンチテーゼでもある。  

(以上、下記サイト記事から抜粋引用)

安倍政権の改憲扇動は空振り? 世論調査で「憲法改正が必要」の意見が激減! NHKの調査でも42%から27%に
LITERA5月3日(火)12時30分
http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0503/ltr_160503_0742368109.html
橋爪大三郎・評 『憲法の涙』=井上達夫・著
http://mainichi.jp/articles/20160424/ddm/015/070/030000c
九条の削除こそ最善

 憲法は泣いている。《護憲派によって、…裏切られているから》。そんな馬鹿な、と思うかもしれない。だが本書を読むなら、なるほどと思うだろう。

 著者は法哲学者。集団的自衛権をめぐるここ数年の憲法論議があまり奇妙なので、憤慨している。護憲派も改憲派もだめなのだが、《やっぱり護憲派の罪のほうが重い》と言う。

 第九条にはこう書いてある。「戦争と…武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」。第二項は「陸海空軍その他の戦力は…保持しない。…交戦権は…認めない」。文字通り読むなら明らかに、非武装中立を定めている。ゆえに自衛隊も日米安保条約も違憲、としてきたのが「原理主義」の護憲派である。

 戦争は放棄したが、自衛権はある。だから自衛隊をおき安保条約を結んでもよい。「個別自衛権は合憲」とする従来の政府見解だ。これを認め、でも「集団的自衛権は違憲」だとするのが「修正主義」の護憲派だ。

 安倍政権は政府見解を改め、集団的自衛権を認める安保法制を成立させた。違憲だと、憲法学者が声を揃(そろ)える。だが国連憲章も、個別自衛権と集団的自衛権を両方とも認めている。自衛権が日本国に具(そな)わっているのなら、個別自衛権は合憲だが集団的自衛権は違憲、という「修正主義」派の主張は苦しい。これに比べれば、憲法論として《原理主義的護憲派が正しいのは明らか》だが、《彼らの欺瞞(ぎまん)は…何もしない》こと。現状の肯定と同じことになるからだ。

 ではどうする。井上達夫氏は九条のまるごと削除が最善だとする。安全保障の政策は憲法で「凍結」せず、国民の議論に委(ゆだ)ねるべき。戦力の存在を認め、憲法に戦力統制規範を書き込むべきである。それができないなら次善は、護憲的改憲(九条を新しくする)。それも無理なら三善は、保守的改憲発議。集団的自衛権を認めるよう憲法を書き換える。それさえしない現状維持は、国民の憲法感覚をますます損ない、最悪だとする。

 民主主義を考える練習問題が本書には詰まっている。戦後の平和を守ったのは九条でなく、日米安保条約と自衛隊である。徴兵制は、貧困層に負担を押しつける志願制に比べ、民主主義に合致するし、安易な戦争も抑止できる。パルチザンは正規軍に比べ、民主的統制に服さないからはるかに危険である。アメリカは、日米安保条約がなくなれば在日米軍基地を失ううえ、核武装した日本を相手にするのも困るので、集団的自衛権を日本に強く迫るはずがない。著者の考えはまだ少数派かもしれないが、世論が耳を傾けるべき、筋の通った議論ばかりだ。

 では安倍政権はどこがいけないのか。本当は改憲したいのに世論を読んで「解釈改憲」ですませようとした。アメリカに捨てられまいと集団的自衛権に踏み込み、実は本気で相手と大人の交渉をしていない。憲法を理解せず憲法をないがしろにしている点は、護憲派といい勝負なのだ。それに対して憲法学者らは、《立憲主義と平和主義…を守るのがおれたちの使命だ、みたいな…カルト的な使命感》のせいなのか、まともな反論ができていない、と著者はみる。

 本書は、憲法をめぐるここ数年の議論のなかで最もまともな議論のひとつだ。前著『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください』を踏まえて《その趣旨をさらに明確にして再擁護》し、憲法と安全保障の問題にしぼって掘り下げた続編である。民主主義の成熟を願う著者の、持続する情熱に敬意を表したい。

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