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トンビのようにカラスに追いまくられるだけの日銀は、とてもタカとは言えない [経済関連]

なぜ日銀になど関心をもっているのだろうと思う。自分でもよくわからない。経済学に格別興味があるわけでもなく、そのような知識をためこんできたわけでもない。

ただ、思うに・・・、

高みに巣をつくるタカのように専門性の高いところにいて、どっしりと身構え、日本の経済全体を見渡すと同時に、必要に応じて俊敏に動くべき日銀が、カラスに追いまくられるだけのトンビのように成り果ててしまっていることへの不安のようなものからきているのかしれない。

では、「カラスは、何か?」というと、ソレは「セイジ(家)」・・・。

今朝(4/19)の毎日新聞「記者の目」で、三沢耕平(東京経済部)が書いていることにソレがよく示されている。

(以下、全文引用)

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記者の目:「危うい」政府と日銀の関係=三沢耕平

毎日新聞 2013年04月19日 02時13分

日銀が黒田東彦(はるひこ)新総裁の下、お金の量(マネタリーベース)を2年で2倍にする新政策を導入し、円安・株高が止まらない。白川方明(まさあき)前総裁は行き過ぎる金融緩和の「危うさ」を指摘したが、私は別の意味で「危うさ」を感じている。世の中の空気に流され、政治圧力に屈して次々と政策を変更している日銀の存在そのものに対する「危うさ」だ。今こそ日銀と政府の関係を見つめ直す好機と捉えて、日銀法改正に踏み切るべきだ。

「リスクプレミアム」「ポートフォリオ・リバランス」……。日銀担当記者として私のささやかな楽しみは、難解な金融用語をちりばめながら旧知の政治家と会話することだ。しかし、多くの政治家が眉をひそめて話題をそらそうとする。その表情から分かったのは、金融政策に対する知識の少なさだ。

民主主義の日本では、国権の最高機関である国会で国の仕組みを決めるのがルールだ。しかし、金融政策には瞬時の判断が求められる。いちいち国会審議にかけていては金利の調節や金融システムの維持は危うくなる。各国の中央銀行が政治から独立しているのは、こうした「専門性」と「即時性」が求められるためだろう。

ところが解散を巡って政局が緊迫した昨秋以降、私が見た日銀は政治の「玩具」と化していた。

当時の民主党政権は市場を驚かせる「サプライズ」を要求。日銀は抵抗したが、10月30日の決定会合では追加緩和に加え、事実上の政策協定となる共同文書を作成した。当時は1ドル=79円台。記録的な円高のまま解散すれば総選挙では逆風になる。日銀を使って景気の景色を一変させてから解散−−。そんな思惑が透けて見えた。

次に日銀を襲ったのは「次元の違う緩和」を掲げた自民党からの圧力だ。金融政策が争点になる異例の総選挙で自民党が圧勝すると、日銀はそれまでかたくなに否定していた物価上昇率の2%目標をあっさり導入した。

 ◇政治家の足元 見直す余地あり

政治に付け入る隙(すき)を与えたのはデフレ脱却という結果を出せなかった日銀自身にあるのは言うまでもない。しかし、そもそも白川前総裁を誕生させたのは、ねじれ国会の下で自民、民主両党が激しく対峙(たいじ)した「決められない政治」だった。白川前総裁をののしる政治家たちにも足元を見つめ直す余地はある。

「決められない政治」がどれだけ日本経済の足を引っ張ったか。不況期には財政出動で景気の底割れを防ぐのが定石だが、昨秋には赤字国債を発行する法律の成立が遅れて予算執行が一部停止。デフレ下で財政を引き締める「珍事」に危機感を覚えた市場関係者は、「日本経済最大のリスクは永田町(政治)」と、金を使うことを手控えた。

永田町はそれでも、「言うことを聞かなければ日銀法を改正するぞ」と言わんばかりの勉強会を相次いで設立したものの、不思議なことに黒田総裁の誕生とともに一斉に休止状態になった。鬼(白川前総裁)の首を取れば終わりなのか。危機的な財政状況で、物価を安定させるには日銀だけでなく政府の役割も重要だ。日銀と政府それぞれの責任の所在を明示する立法化を検討すべきだ。

 ◇財政立て直しと成長戦略不可欠

ゼロ金利の下での国債発行は、最小限の利子で借金できることを意味する。現在の金融緩和が、財政赤字を穴埋めする「財政ファイナンス」と捉えられれば国債は暴落し、金利は急上昇する。金融緩和の狙いは長期金利を下げてお金の回りを良くすることにあるが、このリスクが顕在化して金利が上昇すれば、黒田日銀の「異次元緩和」も頓挫するだろう。そうさせないためには財政再建の道筋をつけることは不可欠。お金が世の中に出回るように仕事(需要)を生み出すには、規制改革などの成長戦略も欠かせない。

これらには、国民に痛みを強いる改革や既得権にメスを入れる改革が必要になる。それは過去の自民党にはできなかったことだ。

改革が「骨抜き」とならないよう、黒田総裁は「こんな財政再建プランでは『財政ファイナンス』と受け取られてしまう」「こんな成長戦略では物価目標の達成が遅れてしまう」と迫るべきだ。

日銀に対する「駄目出し」は迷わない政治が、財政再建と経済成長という結果をいつ出すのか。アベノミクスの矢を3本用意した安倍晋三首相のことだ。第一の矢である日銀からの、こうした逆圧力を受ける覚悟で「異次元」の総裁を選んだのだと信じたい。



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