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坂本龍一の好きな曲 UTAU [アート・美術関連]

当方はYMO時代の龍一さんを全然知らない。最初にその存在を知ったのは清朝最後の皇帝を扱った映画『ラストエンペラー』の音楽。

いい曲はたくさんあるが、一番のお気に入りは大貫妙子とのアルバム。UTAU。

YouTubeで聞いているが、この才能(talent)がいまはいないのだと思うと、切ない。

a life(UTAU LIVE IN TOKYO 2010 A PROJECT OF TAEKO ONUKI & RYUICHI SAKAMOTO)
https://www.youtube.com/watch?v=XQpkgcNs5NY&list=RDEMXda29yuQTFB0wxVf0Kc7PQ&index=2

Taeko Onuki&Ryuichi Sakamoto / 3 biki no kuma(The Three Bears)
https://www.youtube.com/watch?v=IfaEf1YmTl4&list=RDEMXda29yuQTFB0wxVf0Kc7PQ&index=3

Taeko Onuki & Ryuichi Sakamoto - 1. 美貌の青空 Bibo no Aozora
https://www.youtube.com/watch?v=LiCaFheclUU&list=PL7h62aZ4kKG3ZCvIzjSIw3Zd0I38IWFRz


UTAU(2枚組)

UTAU(2枚組)

  • アーティスト: 大貫妙子 & 坂本龍一
  • 出版社/メーカー: commmons
  • 発売日: 2010/11/10
  • メディア: CD



ぼくはあと何回、満月を見るだろう

ぼくはあと何回、満月を見るだろう

  • 作者: 坂本龍一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2023/06/21
  • メディア: Kindle版



坂本龍一 本当に聴きたい音を追い求めて

坂本龍一 本当に聴きたい音を追い求めて

  • 出版社/メーカー: ミュージック・マガジン
  • 発売日: 2023/04/28
  • メディア: 雑誌



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これぞ 日本人(18代 中村勘三郎) [アート・美術関連]

中村勘三郎が亡くなって10年になろうとしている。

勘三郎の最晩年の様子を知ることができた。

感想をいうなら、これぞ 日本人 である。

平成中村座物語#13 2011 to 2012 -The History of Heisei Nakamura-za #13 2011 to 2012-
https://www.youtube.com/watch?v=yrMDnoGyC8E

平成中村座物語#14 2012 -The History of Heisei Nakamura-za #14
https://www.youtube.com/watch?v=47EOkUZzZXM&t=125s


「富士紅葉名残の月に 中村勘三郎さんを悼む」 野田秀樹 
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2012-12-09


十八代 勘三郎

十八代 勘三郎

  • 作者: 中村 勘三郎
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2013/03/26
  • メディア: 単行本



天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎 (文春新書)

天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎 (文春新書)

  • 作者: 長谷部浩
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/02/26
  • メディア: Kindle版




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ダ・ビンチの素描と鏡文字(小佐野重利著「絵画は眼でなく脳で見る」から) [アート・美術関連]

レオナルド・ダ・ビンチの素描や鏡文字について、これまでも当該ブログに書いてきた。

「レオナルドxミケランジェロ展」の案内パネルには次のように記されていた。「Dicegno ディゼーニョという言葉は、文字通りデッサンやドローイングを意味するだけでなく、まだ頭の中にあるアイデアや構想、つまりデザインも意味していました。頭に浮かんだイメージが、素早く正確な形になって現れるのが、素描であり、そのため素描には、しばしば完成品では失われてしまうような生まれたばかりのみずみずしい形や活き活きした線が見られます」

レオナルドxミケランジェロ展(三菱一号館美術館)から
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2017-09-04

《 レオナルド・ダ・ヴィンチの「解剖手稿A」 》
https://kankyodou.blog.ss-blog.jp/2018-07-24

みすず書房から出版された 小佐野重利著「絵画は眼でなく脳で見る」に、ダ・ヴィンチについて記されている。以下は、その素描と鏡文字に関する部分。

************

一般に、言語を司る機能領野が左脳に偏る場合が多いという事実はあるが、この実験結果から、言語機能のすべてが片側の脳半球に偏在してはいないこと、左脳と右脳を連結する太い神経線維の束(脳梁)によって左右の脳が連結、協同していることが裏付けられる。特に、左利きの頭頂葉の活動についてみると、左手で鏡文字を書くときは左脳だけが活動し、利き手でない右手で鏡文字を書くと左右の脳が活動したということは、右利きの人より、左利きの人の方が脳部位をバランスよく、かつ一部位だけに負荷をかけないようにして活動させていると推測される。

レオナルド自身が両利き(左手が利き手で、右手でも筆記ができるという意味)であったと仮定しても、左手による鏡文字の筆記は彼にとっては、右手による普通文字よりも素早く書けたし、また読みの速度も速かったのではないだろうか。というのは、1983年には、左利きの左手による鏡文字による筆記およびその読みの速度が右利きによる鏡文字の筆記および読みの速度より早いことや、左利きの利き手による鏡文字の筆記には右手による鏡文字および右利きの鏡文字より書き間違い(書き損じ)が少ないことが報告されているからだ。

レオナルドの『絵画論』のなかの素描理論で特に有名なのが、構図上の着想をスケッチする際の迅速かつ粗放さを勧める文章(出典略)である。「物語を素描(スケッチ)するには迅速でなくてはならず、また人物の四肢もあまりに仕上げられていてはならない。ただ四肢の配置だけで満足しなさい。そうすれば暇なときに気に入るとおりに、それを仕上げることができる」と。

同じことが、彼の脳裡に浮かんださまざまな着想を書き記した鏡文字による手稿にもいえよう。たしかに、レオナルドの境遇(公証人の庶子)と左手の反転文字との関係を論じることは一理あるが、それだけではあるまい。西洋における読書習慣が中世末に大転換を迎えたことはよく知られている。いわゆる音読から黙読に変わるとともに、書記法にも単語の区切りや草書(筆記)体の創出が見られた。まさにレオナルドの時代は、書記行為は知性の営為に直結していた。しかも、脳裡に浮かぶ着想は、瞬時に消え去る傾向がある。画家の書記行為は思いついた瞬間に脳裡から消え去る着想を迅速に書き留めることであった。このためには、すばやく書き記すことが必要であり、レオナルドにとっては左利きの利点を活かして右から左に、しかも字画を反転させて文字を綴ることが、より効率的であった。事実、彼の書記の内容は時には極めて簡潔な問いや他愛のない思いつきであり、また同じような内容が時を経て再び書き留められている。すなわち、自らのメモを「素早く」読み返し、その同じ論題を観察と実験を通して再考し、書きとめ、より真理に近づこうとするレオナルドの知性の営みが浮かび上がる。/ やや脱線したようだが、例えば・・・

(以上「終章 実験美術史の試み 科学的調査や分析化学を取り込んだ実験美術史の可能性」p113-115から)

絵画は眼でなく脳で見る――神経科学による実験美術史

絵画は眼でなく脳で見る――神経科学による実験美術史

  • 作者: 小佐野重利
  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 2022/04/12
  • メディア: 単行本




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ゴッホの『夜のカフェテラス』を入手 [アート・美術関連]

ゴッホの『夜のカフェテラス』を入手した。もちろん複製である。

ところが、受け取ってみると、あんまりにもひどい。複製というからには、マチエールやらタッチやら、ある程度は彷彿とさせてもらえるものと思ったのだが、複写を繰り返した果てのようなあり様で、何が描かれているのかは分かるが、こころに響いてくるものがない。

もっとも、展覧会の図録でさえ、原画にははるかに及ばないのだから、数千円の複製に期待するのがそもそもまちがいなのだろう。

北京故宮『書の名宝展』
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2008-08-18-1

そういう関係で、Wikipediaの『夜のカフェテラス』の項目をみた。そうしたらオモシロイことがでていた。以下、抜粋引用してみる。

<美術研究家ジャレッド・バクスターは、『夜のカフェテラス』はレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』を参照しているという説を唱えている。カフェには12人の客がおり、中央にはキリストのような髪の長い人物がおり、その背後には十字架にも見える窓枠がある。そしてテラスから去ろうとしている左の影の人物はユダとも言われる。ゴッホはオランダ改革派教会の牧師の息子で、父同様に聖職者の道を目指そうとしたが断念し、20代後半で画家を目指した。実際、ゴッホはこの作品を描いた頃、弟テオに「私は宗教が非常に必要だということを毎日感じる」という手紙を送っている[2][3]。>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9C%E3%81%AE%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%86%E3%83%A9%E3%82%B9







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ゴミ屋敷~葛飾北斎~転居 [アート・美術関連]

実際のところ「ゴミ屋敷」になっているかどうか分からないが、山姥が亡くなって、その屋敷を片付ける必要が生じた。

300坪の土地に一戸建てが3軒、4室アパートが1棟、空き家になっている。家具類も残っている。それだけならまだしも、敷地全体が竹林になってしまった。「竹林の七賢」ならぬ「竹林の(3+4)7軒」である。

それらをなんとかしなければならない。費用を抑えるために、自分でできるものかどうか確認のうえ、自分でできることは自分でしようと思っている。

ゴミ屋敷の片付け費用相場は1R3万円〜!費用を安く抑える4つのコツ
https://curama.jp/magazine/373/

ゴミ屋敷を片付けたい!自分でやる掃除・プロに依頼する掃除の違い
https://curama.jp/magazine/709/

空き家を解体すべきか否か?
https://www.crassone.jp/media/16897

https://www.crassone.jp/

そんなわけで、「ゴミ屋敷」で検索していたら、おもしろい記事をみつけた。

まるで西洋画! 葛飾北斎の娘・応為がゴミ屋敷で描いた浮世絵が凄い
https://www.dailyshincho.jp/article/2016/04070525/?all=1

画業に専念していた葛飾北斎は引っ越しを繰り返すことすさまじかったと聞いている。家を片付ける時間を惜しんで、そうしたために、あっと言う間にゴミ屋敷になり、次の家に移ったという。

なぜ…?93回も住まいを変えた葛飾北斎「その意外な理由」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64344

しかし、次の家に移るにせよ、ゴミ屋敷を片付ける必要があったろう。弟子にでも任せたのだろうか。弟子に任せて片付けることができるくらいなら、転居の必要はなかったはずだ。家を2軒(間)借りて、交互に作業することもできたはずだ。それだけの、家賃を支払うことができなかったのだろうか。

実際のところは分からないが、助けてくれる弟子もいない、しはらう家賃もおぼつかない、片付けもしないで次の家に移る・・となると、北斎の「転居」は、ほんど「夜逃げ」にちかいものだったのかもしれない。そうなると、ほとんど犯罪者の域に入る。

転居すること「93回」というが、そんな怪しげな人物を店子にする大家はいるだろうか・・

などと思っていたら、幕府の弾圧が関係しているらしい。

93 回の引っ越し… …画号を何度も変更……葛飾北斎の奇人エピソードの裏にあった現代にも通じる「深刻な背景」
https://bunshun.jp/articles/-/45557


まあ、なにはともあれ、それほど好きなもの(画業)があるとは羨ましいかぎりだ。

「HOKUSAI PORTAL」
https://intojapanwaraku.com/hokusai-portal

以下、当方未読

葛飾北斎伝 (岩波文庫)

葛飾北斎伝 (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1999/08/18
  • メディア: 文庫


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マーラーの交響曲全集(彼のかかえた精神的問題とは・・) [アート・美術関連]

マーラーの曲を好んで聴いている。交響曲全集もいつの間にかいくつも持つことになった。おのずと好きなものは集まってしまうものらしい。ほんとうに好きな方からは「なんだそれだけ・・」と言われそうだが、アバド、ラトル、テンシュテット、レヴァイン、ベルティーニの全集をとっかえひっかえ聴いている。

いま書いた指揮者の順にAmazonで購入した。みな驚くほど安く入手できた。むかしならLPレコード1枚の値段である。おそろしく有難い時代になったと喜んでいる。

その中でも、一番気にいっているのは、クラウス・テンシュテットだ。音楽的に、いちばんマーラーを感じさせてくれる。

テンシュテットが、どんな人物、指揮者だったかは『ウィキペディア』のパロディサイト(『アンサイクロペディア』の項目)をみると、よく分かる。誇張しふざけているような記述だが、それだけにマーラーを理解し、表現するのに、たいへん適った打ってつけの人物であったことが伝わってくる。
https://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%86%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%88


マーラーは、精神を病んでいた。1910年頃、フロイトの治療を受けていたという。そのことを『世界天才紀行』で知った。その本のなかではウィーンだけ二つの章が用いられていて、そこにマーラーのことが出ていた。なぜ2章が用いられていたか、たぶん世紀末(近代から現代へと移行する端境期)の分裂、二面性を示す都市だったからではなかったかと記憶する。(これは、確認してみないとわからないが、もしそうであるなら、ますますマーラの音楽理解に適っているということになろうかと思う)そこでマーラーとフロイトが、患者と治療者という関係にあったことが記されていた。

世界天才紀行――ソクラテスからスティーブ・ジョブズまで

世界天才紀行――ソクラテスからスティーブ・ジョブズまで

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/10/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


「マーラー フロイト」でネット検索すると、マーラーのかかえた精神的問題として若い妻アルマとの関係のことなど指摘されている。が、もっと大きな時代的なものが関係していたように当方は思う。ちょうど、芥川龍之介が自殺するに至った「ぼんやりした不安」のようなものである。

1914年(つまり第一次世界大戦勃発時)前のウィーンに生活していたマーラーにとって、それは世界崩壊の予感のようなモノがあったのではないかと思う。19世紀末から1914年の第一世界大戦前の時代は(フランスで)「ベルエポック(美しき良き時代)」と呼ばれた。それは周辺諸国でも同様であったという。そういう時代を経験し、享受してはいるものの、それが破綻していく予感のようなモノをつよく感じていたのではないか。
https://artscape.jp/artword/index.php/%e3%83%99%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%82%a8%e3%83%9d%e3%83%83%e3%82%af

ちょうど同じ頃、ユングもたいへんな精神的危機を経験している。それも、直接の問題としてはフロイトとの関係が原因と言われるが、マーラーと似たようなモノではなかったかと思う。同じような時代的荷を背負いながら、マーラーは死に、ユングは生き延びた。

もしマーラーが、その荷(世界崩壊の予感のようなモノ)を背負わなければ、身体的な病気も深刻なものにならず、もっと長く生き延びてその指揮ぶりを(リヒャルト・シュトラウスのように)録音として残してくれたように思う。

この世に、万全なものなどない。万全に思えるものも、いずれ破綻する。崩壊する。そういう直観(感)が繊細なたましいにひどく堪えたのではないかと(勝手な想像であり、検証が必要だが)当方は思っている。

オバマ期待がハズレル時
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2009-01-20

Mahler

Mahler

  • アーティスト: Mahler, G.
  • 出版社/メーカー: Deutsche Grammophon
  • 発売日: 2014/07/08
  • メディア: CD



Mahler: the Complete Symphonie

Mahler: the Complete Symphonie

  • アーティスト: Mahler, G.
  • 出版社/メーカー: Warner Classics
  • 発売日: 2017/08/18
  • メディア: CD



Mahler: Complete Symphonies Klaus Tennstedt

Mahler: Complete Symphonies Klaus Tennstedt

  • アーティスト: Tennstedt, Klaus
  • 出版社/メーカー: Warner Classics
  • 発売日: 2011/05/09
  • メディア: CD



James Levine Conducts Mahler: Symphonies Nos. 1, 3, 4, 5, 6, 7, 9 & 10

James Levine Conducts Mahler: Symphonies Nos. 1, 3, 4, 5, 6, 7, 9 & 10

  • 出版社/メーカー: REDSE
  • 発売日: 2010/11/05
  • メディア: CD



Mahler: Symphonies 1-10 - Das Lied von der Erde

Mahler: Symphonies 1-10 - Das Lied von der Erde

  • 出版社/メーカー: EMI
  • 発売日: 2009/09/21
  • メディア: CD




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1 東京へ(南方熊楠生誕150周年記念企画展 南方熊楠-100年早かった智の人-) [アート・美術関連]

昨日(10日)、東京・上野の国立科学博物館に出かける。

南方熊楠生誕150周年記念企画展 南方熊楠-100年早かった智の人-を見る。
https://www.kahaku.go.jp/event/2017/12kumagusu/

今回の展示の焦点は、「100年早かった智の人」。ネット時代、智(データ)の集積を誰もが容易に図れるようになった。今日に100年先駆け、熊楠は知識のインプットとアウトプットをダイナミックに展開させた。そのことが、原稿出稿にさいしてのメモ書き(「腹稿」)に現れている。

本展パンフレットの「展示紹介」(6 智の構造を探る)に以下のように説明されている。

熊楠の活動は、自然史にとどまらず、人文系の分野にまで及びました。代表作である「十二支考・虎」も、膨大な情報収集の上に編み出されたものです。「虎」には、熊楠が「腹稿」と呼んだメモ書きが発見されており、熊楠の頭の中にある情報をまとめていく過程を示したものとして、現在でも研究されています。「虎」の腹稿研究の紹介を通じて、熊楠の思考に迫ります

展示されている「十二支考・虎」の「腹稿」メモは、新聞の裏紙に記されている。当時の新聞は、紙の表だけに記載されていたようだ。そのサイズは、今の新聞の1ページの半分程度だ(ったように思う)。そこにびっしり書き込みがあり、それを元に、原稿が成っていったことがパネル等で示される。

それを見て思ったのは、トニー・ブザンのマインドマップとの近似である。マインドマップでは、個々の言葉を線で結ぶが、熊楠の「腹稿」メモには線がない。しかし、熊楠には、線が見えていたのであろう。見るたびに、線の位置が多彩に変化していったかもしれない。

そう考えると、展示のはじめ(入り口)に示されている「熊楠まんだら」の図像は、マインドマップの線をのみ示したようにも思える。熊楠がいうには、あのマンダラ図像は立体なのだそうである。紙に描くために、2次元の表現をとらざるを得ないものの、実は3次元を示しているのだそうである。

それゆえ、たぶん、虎の「腹稿」メモも3次元の深みを持っており、フツウの人が見ると、ゴチャゴチャとたくさん書き込んだにすぎないモノも、熊楠には立体の線でつながっていたのだろう。ちょうど、天の星を、星図上に描く際、平面として表記せざるをえないものの、見る目のある人には、それぞれの恒星が独立した存在としてあり、宇宙が奥行きをもつようにである。


熊楠の「抜書き」等の実物を、今回はじめて見た。写真、図版等、ネット上でもこれまで見る機会はあったが、実際に見て、やはり実物を見るだけの価値はあると思ったことを、お伝えしたい。


「南方曼荼羅」画像(グーグル検索結果)
https://www.google.co.jp/search?q=%E5%8D%97%E6%96%B9%E6%9B%BC%E8%8D%BC%E7%BE%85&hl=ja&rlz=1T4LEND_ja___JP513&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjFgJuQi8_YAhXHfLwKHVb_Bp0Q_AUICigB&biw=1239&bih=621


『頭のよさはノートで決まる 超速脳内整理術』齋藤 孝著
http://kankyodou.blog.so-net.ne.jp/2017-03-01


南方マンダラ (河出文庫)

南方マンダラ (河出文庫)

  • 作者: 南方 熊楠
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2015/04/28
  • メディア: 文庫



描くだけで毎日がハッピーになる ふだん使いのマインドマップ

描くだけで毎日がハッピーになる ふだん使いのマインドマップ

  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2012/08/29
  • メディア: Kindle版



頭のよさはノートで決まる 超速脳内整理術

頭のよさはノートで決まる 超速脳内整理術

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: ビジネス社
  • 発売日: 2017/01/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




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ボサノバの名歌手にほれぼれ [アート・美術関連]

『イパネマの娘』など、ボサノバは嫌いではない。

だが、日本で一時期はやったボサノバは、日本ならではの湿気をふくんで変容し、好きではナイ。

ところが、最近『ユーチューブ』で見つけた女性歌手にほれぼれしている。ブラジルの風、陽光と熱気を感じる。

Rose Max というのが、その名。

『アマゾン』で、CDをさがしたが、ボサノバを収録したものは無い。

世界レベルの超1級の歌手だと思うのだが・・・


以下は、『ユーチューブ』のサイト

ご興味のある方は、どうぞ・・・

GIRL FROM IPANEMA
https://www.youtube.com/watch?v=FB1Ma4-fLhI

BOSSA NOVA MEDLEY
https://www.youtube.com/watch?v=QxUIcRiQvDU




Bossa Nova: The Cool Sound From Brazil Box set,

Bossa Nova: The Cool Sound From Brazil Box set,

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: DOCUMENTS
  • 発売日: 2014/10/14
  • メディア: CD




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レオナルドxミケランジェロ展(三菱一号館美術館)から [アート・美術関連]

レオナルドxミケランジェロ展(三菱一号館美術館)に行ってきた。

http://mimt.jp/lemi/


案内パネルには「本展覧会では、二人の芸術家の素描を中心に紹介・・」とあり、展示の焦点はふたりの素描、デッサン。

案内パネルからさらに引用すると、「Dicegno ディゼーニョという言葉は、文字通りデッサンやドローイングを意味するだけでなく、まだ頭の中にあるアイデアや構想、つまりデザインも意味していました。頭に浮かんだイメージが、素早く正確な形になって現れるのが、素描であり、そのため素描には、しばしば完成品では失われてしまうような生まれたばかりのみずみずしい形や活き活きした線が見られます。」とある。

展示作品は、赤チョークをつかった薄い線で描かれたものが多く、(図録で見ると分かるのだが)、館内の光では何がなんだか識別できない作品もあった。

印象に残ったのは、パンフレットやチケットにも印刷されている2作品「少女の頭部」と「レダと白鳥のための習作」。もう一点「これは・・」と思ったのは、レオナルドの「髭のある男性頭部」。

それゆえ、本展のタイトル『レオナルドxミケランジェロ』をひとつの競技(勝負)と考えるなら、2対1でレオナルドの勝ちということなる。

しかし、生涯現役という観点からいくと、「フィレンツェのヴェッキオ宮殿の壁画における競作」の後、芸術(絵画・彫刻)作品の創作よりも、そのベースとなる解剖学の研究にレオナルドが入っていったことを考慮すると、芸術家としてはミケランジェロの方が上だったように思う。

レオナルドの素描は、数学的比率を考慮した精緻で、たしかなものではあるが、ふくらみがないように感じられた。最初に引用した案内パネルの言葉でいえば「生まれたばかりのみずみずしい形や活き活きした」もの、つまりは「いのち」があまり感じられない。

その点からいえば、しばらく前に見たモディリアーニのデッサンの方がはるかに衝撃的だった。たった1本の線が意味をもち、簡略化されたカラダの線の上に載せられた細密な女の首の生々しさにドキッとした覚えがある。

モディリアーニ展(国立新美術館)
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2008-04-13


今回の展覧会で、一番の収穫は、「天才」と称される二人だが、デッサンをさまざまな視点から描き、蝋や粘土で小さなモデルを制作し、それを元に大きな作品を制作していったことだ。その仕事の速さと完成度について賞賛されるミケランジェロだが、実際のところは、その下準備にたいへんな苦労をしていたということだ。

その点、〈ミケランジェロは「絵画と彫刻は共に素描から生まれた娘である」と語りました。〉と、パネルでも紹介されてあり、「娘」を生み出すためにどれほどの苦労をしたことか・・・。また、今回が世界で初めての長期展示となるという素描、聖書(創世記)の記述にあるイサクを犠牲に捧げるアブラハムのデッサンも2方向から描かれ、その線も錯綜していて、レオナルドの試行錯誤が分かる。


最後に、ミケランジェロの言葉を、案内パネルからもう一つ・・・

〈足か手、あるいは首といった部分だけでも、うまく描く方法を知っている人間なら、この世の被造物を全て描くことができるというのが私の意見である。 ミケランジェロ〉

「被造物」を造った造物主の存在が意識にあっての言葉にちがいない。簡単に言えば、ミケランジェロは、創造者:神を認めていたということだ。

『レオナルドxミケランジェロ』の勝負に、神を引き出してはなんだが、そういうわけで、もっとも優れたアーティストは、デザインやフォルムだけでなく「いのち」の創造者でもある神ご自身であるにちがいない。


もっと知りたいミケランジェロ: 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

もっと知りたいミケランジェロ: 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

  • 作者: 池上 英洋
  • 出版社/メーカー: 東京美術
  • 発売日: 2017/05/31
  • メディア: 単行本



もっと知りたいレオナルド・ダ・ヴィンチ 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

もっと知りたいレオナルド・ダ・ヴィンチ 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

  • 作者: 裾分 一弘(監修)
  • 出版社/メーカー: 東京美術
  • 発売日: 2006/05/30
  • メディア: 単行本



舊新約聖書―文語訳クロス装ハードカバー JL63

舊新約聖書―文語訳クロス装ハードカバー JL63

  • 作者: 日本聖書協会
  • 出版社/メーカー: 日本聖書協会
  • 発売日: 1993/11/01
  • メディア: 大型本


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夏目漱石の(三遊亭)円朝評(『その後の慶喜』ちくま文庫から) [アート・美術関連]

最近、『あくびの出るハナシ』と題した記事のなかで、三遊亭円朝を取り上げた。
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2017-04-22

そこで、円朝が噺家として「生まれ変わった」ことに山岡鉄舟がからんでいることを示した。

その後、たまたま、『その後の慶喜』という本を読んでいたら、徳川慶喜と円朝との交流についての記述がでていた。山岡鉄舟が円朝を紹介したという一文があるかと思ったが、そこには無い。しかし、円朝の名人ぶりが示されて興味深い。以下に、引用してみる。


その後の慶喜: 大正まで生きた将軍 (ちくま文庫)

その後の慶喜: 大正まで生きた将軍 (ちくま文庫)

  • 作者: 家近 良樹
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2017/01/10
  • メディア: 文庫



漱石の円朝評

天保10年(1839)生まれの円朝は、当時53歳で円熟期にあった。その芸風は、彼を絶賛した夏目漱石が、円朝に似ていると見た新派の俳優になぞらえて、「その工(たくみ)が不自然でない」「余程巧みで、それで自然」と評したことからも明らかなように、至高の芸風に達していた(「本郷座金色夜叉」「水まくら」。いずれも『夏目漱石全集』第16巻に所収)。つまり、高度な表現技術を持ち合わせながらも、それを感じさせないごくごく自然な語り口で、しかも情味にあふれる芸風となっていたのである。

もっとも、若い頃の円朝は、慶喜に円朝を引き合わせた渋沢(栄一)によると、「万事が大袈裟で、シンミリした話なんか」とは縁遠い芝居がかった派手な噺をしていたらしい。だが、その後の人生でなにか感じるものがあったのだろう。やがて、「人情話というものを発明」して、『怪談牡丹燈籠』や『塩原多助一代記』など、広く世に知られるようになる噺を創作していくことになる。また、素材を広く海外にも求めて、『英国女王イリザベス伝』なども作りあげた。そして、やはり渋沢によると、円朝は「話術が旨かったばかりで無く、なかなか学問もあって文事に長け、能く読書して居ったので、(中略)纏まった長い人情話を作ることが出来た」という。それゆえ、「どんな立派な人とも話」ができ、「高貴の人の御前だからとて別におくびれるような事なぞはなかった」ともいう(『渋沢栄一全集』第2巻、417~418)。「高貴の人」の中のひとりが慶喜だったことはいうまでもない。

いずれにせよ、慶喜と出会った頃、近代大衆芸能の頂点に位置するまでに円朝の芸は達していたのである。それは「本業の芸以外、なおその芸に遊び得る余裕」(同前)がある者にしか到達しえない世界であった。そして、この円朝の二歳年長が慶喜であった。

ちなみに、山岡鉄舟は、天保7年生まれで、慶喜とほぼ同年齢である。最後の将軍を「守る」ために鉄舟は奔走した。慶喜と円朝が出会ったとき、すでに鉄舟は亡くなっているが、円朝は、鉄舟との縁を慶喜に語ったのだろうか。

著者(家近 良樹)は「夏目漱石の円朝評」を、次のようにしめくくっている。

この日の演者円朝と、それを静かに聴く慶喜両人の関係は、まさに明治という時代の特色を集約する光景となった。大衆娯楽の王者と元将軍が、小さな空間で時を同じくするなどということは、身分格差のやかましい封建時代では到底考えられないことだったからである。


徳川慶喜 (人物叢書)

徳川慶喜 (人物叢書)

  • 作者: 家近 良樹
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2014/01/08
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江戸幕府崩壊 孝明天皇と「一会桑」 (講談社学術文庫)

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  • 作者: 家近 良樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/02/11
  • メディア: 文庫



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POD(プリント オン デマンド)の話を聞いてきた [アート・美術関連]

POD(プリント オン デマンド)に関する話を印刷会社の方から聞いてきた。

伝統的出版、電子出版に継ぐ、新しい出版方式であり、今後期待できるという。

インクジェット方式の業務用印刷機の話もでた。それは、伝統的なオフセット印刷とちがい、アルミの版下(中間作成物)を必要としないので、コストが安くあがるという。そして、生産量・品質ともに高く、少数部数からの印刷も可能であるという。

インクジェット方式の業務用印刷機によるサンプルを見せてもらった。確かに品質がいい。日本には、現在のところ、インクジェット方式の印刷機は、まだ50台に満たないという話である。これからの印刷(とりわけ写真印刷)に関して大いに期待していいように思う。

個人的には、美術展の図録への応用を期待したい。しばらく前、ルオー展に行ってその図録を見た。最近は富岡鉄斎展(どちらも出光美術館)に行って、その図録を見たが、本物との格差が激しい。図録をもって、絵画の命について語ることはできまいと思う。そこにあるのは、亡き骸にすぎない・・。

本日見たサンプルはキルト作品であったが、質感がたいへん優れて良い。近い将来、質のいい図録を安価で入手し手元に置くことができるようになるのだろう。おおいに期待したい。


3:鉄斎TESSAI展 没後90年
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2014-07-29


私にはもう出版社はいらない~キンドル・POD・セルフパブリッシングでベストセラーを作る方法~

私にはもう出版社はいらない~キンドル・POD・セルフパブリッシングでベストセラーを作る方法~

  • 作者: アロン シェパード
  • 出版社/メーカー: WAVE出版
  • 発売日: 2010/06/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



プリント オン デマンド ガイドブック

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  • 作者: 日本複写産業協同組合連合会
  • 出版社/メーカー: ワークスコーポレーション
  • 発売日: 2014/05/27
  • メディア: 大型本



富岡鉄斎 (新潮日本美術文庫)

富岡鉄斎 (新潮日本美術文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1997/01
  • メディア: 単行本



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宮沢賢治の音楽 [アート・美術関連]

宮沢賢治の音楽をめぐるラジオ番組があった。それをMDに録音しておいた。録音したのだが、きちんと記録をつけておかなかったものだから、どのMDに収録してあったのかわからなくなっていた。

それが、出て来た。「ハラスのいた日々」の中野孝次先生が良寛、徒然草などを話す番組を収録したMDに入っていた。宮沢賢治作曲の「星めぐりの歌 」などを取り上げ、その物語作品と音楽について、ゲストに招かれた林光、藤原真理、五大路子らが語るというものだ。ところどころ、賢治作品の朗読が入り、その中には、実弟:宮澤清六のもある。さらに、そこには『風の又三郎』についての貴重な話もある。有名な冒頭 「どっどどどどう、どどうどどどう」の賢治自身の朗読を聞いた方の話もでてくる。

ちなみに、林 光は、賢治の『セロ弾きのゴーシュ』をオペラにしている。最近亡くなった宇野 功芳が、『交響曲の名曲・名盤』(講談社現代新書)に、日本人作曲家として林だけをとりあげていた。

宮沢賢治(林光:編曲)星めぐりの歌
MIYAZAWA Kenji: Song of the Circling Stars (arr. HAYASHI Hikaru)
https://www.youtube.com/watch?v=KqRRN9aIxHI

食事をしながら、その番組を聞いた。あらためて、賢治の感性のゆたかさに思いをいたした。共感覚の持ち主であったのはまちがいない。ランボーもそうであったと聞くが、音を聞くと視覚イメージが湧くというタイプであったはずだ。以前、賢治の絵画を見て、これはフツウではないと思ったことがある。身体意識もフツウでなかったように思う。いわゆる、ドッペルゲンゲルや幽体離脱と称される体験もしているのではないかと感じる。もしかすると、意識して自在にそうできたかもしれない。それは、単に他者への感情移入や対象への自己投入をしているうちに、相手になってしまったり、対象に置き換わってしまうという体験だったかもしれない。以上は、賢治作品から受ける、ただの印象にすぎないのだが、そのように感じるのである。それは、石牟礼道子の感覚ともつながるように思う。

http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2012-03-24
石牟礼道子「苦海浄土」:水俣の海は福島につながる 

所信表明と「国柱会」と宮沢賢治
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2006-09-30

個の確立と「神秘的融即」
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2007-04-29


林光:追悼コンサート「夢へ・・・・・・」

林光:追悼コンサート「夢へ・・・・・・」

  • アーティスト: 林光
  • 出版社/メーカー: フォンテック
  • 発売日: 2013/05/29
  • メディア: CD



林光: オペラ「セロ弾きのゴーシュ」

林光: オペラ「セロ弾きのゴーシュ」

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: 日本コロムビア
  • 発売日: 1995/07/21
  • メディア: CD



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『山岡鉄舟生誕180年記念 山岡鉄舟と江戸無血開城』展 江戸東京博物館 [アート・美術関連]

台風の影響で大雨の可能性のあるなか、展覧会に出向いた。「青春18切符」の使い残しがあり、モッタイナイというわけで、どこに行こうかということで、決まった。

当初、「東北日本と西南日本を分ける最重要断層」とも言われる棚倉構造線に沿った鉄道(水郡線)の旅を考えたが、昨年の同時期、やはり台風の中、たいへんな目にあった方の経験を知って、とりやめにした。

棚倉構造線
http://mtl-muse.vill-ooshika.com/t040900tanakura.htm

江戸東京博物館の『山岡鉄舟生誕180年記念 山岡鉄舟と江戸無血開城』展のことは、ネットで行き先をさがす中で、知った。鉄舟創建の寺『全生庵』の遺品で構成された展示で、出向いたのだが、いちばん見たいものが出ていなかった。鉄舟臨終の際、座禅を組みながら往生したという図像だ。ケチらずに出せばいいものをと、思ったりした。もっとも、そうなると「江戸無血開場」とはズレてしまうのでと言い訳が出そうだが・・。

山岡鐵舟先生臨終図(全生庵蔵)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~mutoryu/page1/siryo/shoga.htm

もうひとつ併設展示として、やはり『全生庵』所蔵の某画家の幽霊画の展示もあった。人間国宝落語家の柳家小さんが晩年寄贈したものもあるという。スタジオジブリの鈴木さんの推薦の言葉もあったが、こちらはほとんど素通り、当方の感性からいくと、シロウトの領域である。かろうじて挿絵に見るものがあるといった手合い。

面白かったのは、地震がちょうどあって、外国人客が「アースクェイクか」とフロントに押しかけ、受付嬢がうれしそうに、「アースクェイク、アースクェイク」と繰り返していたところ。まるで、外国人に日本の名物を紹介できて嬉しいといった風情だった。

耐震建設の博物館にドンと衝撃があって、何か倒れた感がし、せっかく出向いてきたものの、運転見合わせの不運にはばまれて帰宅もままならなくなってはと早々に館を出たが、東京はなんともなっていない。電車は動いているし、平常どおりである。さすが地震大国である。

ということで、「青春18切符」を、数え58のおっさんが使い切った。

COBUILDに見る"folly"の例文
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2011-06-10


OD>おれの師匠―山岡鐵舟先生正伝

OD>おれの師匠―山岡鐵舟先生正伝

  • 作者: 小倉鉄樹
  • 出版社/メーカー: 島津書房
  • 発売日: 2014/07
  • メディア: 単行本



3D地形図で歩く日本の活断層

3D地形図で歩く日本の活断層

  • 作者: 柴山 元彦
  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2016/07/25
  • メディア: 単行本



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柳家小三治師匠の独演会に [アート・美術関連]

久しぶりに小三冶師匠の噺を聞いた。むし暑い日で、会場も暑かった。

当方は、いわゆる小三冶の「おっかけ」である。当地での落語会の折には、必ず出向くようにしている。落語会の案内チラシを記念に保存してあるので、たしかめたら平成16年が最後になっている。どうりで、「久しぶり」と感じるわけだ。

師匠もそのことをマクラに振った。出囃子で登場し高座に上がる。開口一番、「心配しているんです・・・」と言う。こちらは思わず、「何を?」と驚く、当惑する。すると、「何って・・・」と、その後をつなぐ。その間(ま)のために、思わず引き込まれる。最近読んだ好奇心に関する本に、「情報の空白」の話が出ていた。それだなと、思った。

好奇心は知識に連動
http://kankyodou.blog.so-net.ne.jp/2016-05-31-1

師匠も記録を調べて過去7、8年当地に来ていない。それで、まとめ役がいないのではないかと心配しているというのだ。一度、事情があって、独演会に行きそびれたことがある。それから、もうすでに7、8年経過しているのを思い出した。


平成16年の「柳家小三冶一門会」のとき、いっしょに来たのは柳家喜多八だった。最近、亡くなった。ニュースで知ったとき、師匠もつらいだろうなと思った。今回、つれてきたのは、その弟子の柳家ろべえ。どうぞよろしくと師匠じきじき挨拶していた。

平成16年というと今から12年前になるが、その間もテレビで師匠の姿は見ている。2008年10・14のNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』100回記念は小三冶師匠だった。そのときはじめて師匠がリウマチ病みで、薬を手放せないことなど知った。山のような薬を飲みつつ、夏の真っ盛りの寄席で奮闘しているようすも見た。

それから8年。ホール・ステージ上に壇がきずかれ座布団が敷かれる。高座にあがるとき少したいへんそうで、「師匠お年を召されたな」の印象を持った。はなし始めたのは、『粗忽長屋』。死人の噺だ。会場にいる自分のファンであれば、当然喜多八の死を知っていて、そのことをまくらに振ってかける噺といえば、これしかないということだったのだろうと勝手に思った。以前、米朝師匠がテレビ出演していて、弟子が亡くなった直後の高座でのことを思い出したりした。

米朝、逝って、心配、無くなる 
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2015-03-20


中休みを経て、後半。あい変わらず会場はむし暑い。(もしかすると、師匠の要望で空調の温度が高めに設定されていたのかもしれない。体調維持のために、あまり体を冷やせないということを聞いている)。「きょうは何をかけるのだろう。『青菜』かもね・・」などと(客席2列目で)話していたら、まくらなしに突然「植木屋さん、ご精がでますな」と始まった。『青菜』である。季節は夏、お屋敷住まいの大旦那と出入りの植木屋の暮しぶりをめぐる噺だ。

『青菜』はいちど聞いている。平成15年9月。そのときの枕は、「自分はタレント活動など見向きもせずにやっているが、テレビなどというものは・・」というような話しで、ついたまたま「(そんなことを言っているが、ほんとのところテレビにも出たいんでしょうがぁ・・の意を含んで)またまた」と5列目の席で、口走ってしまい、にらまれた感がしたのを覚えている。ついでに「見てろよ」と言われた気もした。

それからタイヘンだった。落語を聞いて失神しそうになった。あたまがクラクラした。血流がどうかしてしまったのだろうと思う。笑死寸前の思いをした。あとで知ったことだが、師匠は、平成15年/2003年7月・イイノホール「円朝祭」 で演じた『青菜』で、第54回 芸術選奨文部科学大臣賞(大衆芸能部門)を受賞している。その直後の高座を経験できたということになる。

それから13年。『青菜』はさらに成長をとげた。ユーチューブ上、師匠の演じる『青菜』を見ることができる。それはさらに古く1991年8月のクレジットが打ってある。当方が初体験した『青菜』より、さらに10年以上前になるが、それとはまったく比較にならない。はるかに出来がよくなっている。

今回、あたまがクラクラすることはなかったが、旦那さんの風格はいや増し、お屋敷はいよいよ広くなり、植木のあいだをくぐる風はさわやかにながれて、植木屋の路地裏の暮しとの対照も自然になった。

植木屋も、クマさんハッツァンのまったく無知といった風情ではなく、それだけのお屋敷に出入りを許されるだけの人品を備えた人物になっている。たまたま経済的にゆるさないので植木屋を稼業とし、路地裏に住まいはしているが、人間として向上していきたいという願いをもつものとして描かれている。

全体に上品になった、品格があがったと言っていいように思う。旦那の風格にいたっては、米朝さん晩年の『百年目』の大旦那を思い出したりしていた。

はじめて聞いた『青菜』のときには、ただただ笑って聞いていただけなのだが、今回は、人間としてもっと大きくならんといかんなあと感じて聞いていた。人間としてもっと向上せなあかん・・と。

どういうわけか、関東人のくせに関西弁になって・・・。


【落語】柳家小三治/青菜(1991年8月)
https://www.youtube.com/watch?v=peJ_iAcpKrc

中国のテレビドラマ「宮廷画師 郎世寧」を見ながら思ったこと 
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2015-04-14


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富田勲さんのNHK-FM追悼番組を聞いて [アート・美術関連]

NHK-FMで、4時簡にわたる追悼番組を聞いた。『未来を走り続けた冨田勲の音世界』と題して作曲家・吉松隆が案内していた。

2012年、初音ミクを用いた「イーハトーブ交響曲」の初演寸前、ご本人が出演し、吉松隆司会で富田勲の仕事を回顧するFM番組があった。その再放送がプログラムの中心で、その合間に、親しく仕事をした人たちに思い出を話してもらうというスタイルの番組だった。

ご本人の話しぶりからもそれはよく了解できるが、親しくしていた方たちのいう富田勲の人柄を一言でいうなら、「垣根のない」ということのようだ。「偉ぶらない」「(自分を)飾らない」と言い換えることができるかもしれない。年下のひとたちにも、たいへん気さくで慕わしい人であったようだ。

今回の放送では、外されてしまっていたが、その人柄をほうふつとさせるエピソードがある。JRのコマーシャルの話だ。当方の記憶にもそれはある。たしか、富田さんが列車の窓辺に手を伸ばして外のようすをぼんやり見ているというイメージを用いた広告だ。テレビでも放映されていたと思う。

ある日、富田さんが、山手線(だったか・・)に乗車している時、車中の人の目が自分に注がれているのを感じて、見ると中吊り広告(だったか・・)壁(だったか・・)に、JRの自分のコマーシャル画像が出ていて、まさにソレをおんなじ格好をしている自分に気づいた。それで、いたたまれなくなって、次の駅で降りた・・・という話しをしていた。


テレビでも追悼番組がつづく。

冨田 勲さん追悼 関連番組放送のお知らせ
http://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=05692


音の雲 ずっと音の響きにこだわってきた/冨田勲 著

音の雲 ずっと音の響きにこだわってきた/冨田勲 著

  • 作者: 冨田 勲
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2003/11/27
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TOMITA ON NHK 冨田勲 NHKテーマ音楽集(新装版)

TOMITA ON NHK 冨田勲 NHKテーマ音楽集(新装版)

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  • 出版社/メーカー: 日本コロムビア
  • 発売日: 2015/03/04
  • メディア: CD



ホルスト:組曲「惑星」

ホルスト:組曲「惑星」

  • アーティスト: 冨田勲,ホルスト
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2012/12/05
  • メディア: CD



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