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新藤兼人脚本・監督『愛妻物語』1951年 [ドラマ]

宇野重吉・音羽信子主演、新藤兼人脚本・監督作品『愛妻物語』(1951年)を見る。

愛妻物語(宇野重吉、乙羽信子)1951
https://www.youtube.com/watch?v=VlDkvN8OTb0

昨日更新した『喜劇 嫉妬』の脚本を書いた新藤兼人の自伝的映画のようだ。『嫉妬』の投稿者(R2Radio13さん)の投稿リストを見ていたら『愛妻物語』が出ていたので、併せて見ることになった。

映像がきれいだ。カメラワークもいい。ドラマとしてよくできている。新藤兼人、監督第一作であるという。脚本も自分で書いている。そうとう力が入っているのだろう。精魂込めて作られたことがよく伝わってくる作品だ。

タイトルはそのものズバリである。駆け出しのシナリオライターを支え励ます女性の話しである。女性の父親は、海のものとも山のものともつかない男との結婚に反対している。その反対を押しきって男のもとに女性は走る。経済的犠牲は甘んじて受け入れる。それより、男のそばに居たいのである。

駆け出しとはいえ、坂口監督(溝口健二が想定されているらしい)からシナリオを依頼される。仕事ができるかどうか試されたのだ。それだけでも有望である証拠だが、何度も書き直しを命じられる。最初に渡したシナリオは、「シナリオになっていない」とまで言われる。自信を粉々にされる。

そうした中で「夫」が一人前になっていくまでの、いわゆる「内助の功」の物語である。「あなた一生シナリオを書いてね。あなたの一生はシナリオなの。シナリオを書くことなの。・・」と愛妻から夫は言われる。

モデルは久慈孝子。これが新藤兼人に事実生じたことであるとすれば、その言葉にそって一生を過ごしたことになる。

「妻」役の音羽信子は、のちに新藤の伴侶になり、「夫」を励ます長屋の隣人役の殿山泰司を、新藤は後に『三文役者』と題して一本の作品にしている。二人は、新藤の生涯の盟友と言っていいのだろう。


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