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木下恵介原案・脚本『五人の兄妹』1939年を見る [ドラマ]

木下恵介原案・脚本/ 吉村公三郎監督『五人の兄妹』1939年を見る。

The five siblings (1939)
https://www.youtube.com/watch?v=scXvgRKTbjc&t=541s

五人の兄妹の長男役を笠智衆が演じている。

父親を亡くしたあと、母親を助け、四人の弟妹を面倒見る。立派に成人するまで見届ける。不都合が生じれば、自分が後始末をする。肩代わりする。

それらを「長男の責任」として行う一方、同時に、それが弟妹にとって本当に幸せだったのか、押し付けたに過ぎなかったのではないかと誠実に考えている。いい兄さんである。

見ていて、その気遣い、労苦に手を合わせたいような気持になった。

父親の死は自殺だった。それがもとで、田舎を出て東京に移り住むことになる。そうでもなければ結婚するはずだった人と別れての上京だ。十数年後、田舎に戻ったとき、たまたま見ることになった葬列は、その女性のものだった。

自分にはどうしようもない人生のめぐりあわせを経験しつつも、そうした中で自分の責任を全うしようと誠実に取り組む人の生きざまを見ることができる。もっとも、そうしていても、流されていくものなのだが・・。

いちばん描きたかったものは、もしかすると「ひとの世の定めなんて、わからねえもんだ」ということかもしれない。

この頃の松竹映画は、女中を置くような中・上流階級の家族を描くものが多いが、この家族は、まったくの庶民である。当方の親、祖父母もこうして生活を築き暮らしていたのだと感じるところ大であった。なつかしいような気持になった。


五人の兄妹 [VHS]

五人の兄妹 [VHS]

  • 出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ
  • 発売日: 1993/02/19
  • メディア: VHS




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