佐分利信主演『都会の奔流』を見る [ドラマ]
The urban torrent (1940年)
https://www.youtube.com/watch?v=GLeQfyo-z94
『都会の奔流』というタイトルだけでは、何の映画か分からない。都会生活、都会人の暮らしの一断面を描いているのだろうくらいは想像できる。都会ならではの何らかのゴタゴタに巻き込まれて苦しむ話だろうかなど思いを巡らすこともできるが、よく分からない。
カンタンにまとめれば、「不良少年の更生の物語」である。
少年とはいえ、大学生である。この映画でも主演の佐分利信はかっこよさを独り占めである。知人の舎弟(三井秀男:後の三井弘次)を自宅にひきとり、真人間になるよう助ける。
聞く耳をもたなければ、信頼を得て聴く耳をもつようになるまで待つ。しっかり自制を保ち、おだやかに親切に接する。すこしでも良い変化を遂げれば、すなおに喜ぶ。信頼を大きく裏切られても、自分の預かった人間の不祥事は自分の責任として、潔く受け入れる。
不良少年が、どうしようもないダメ人間であるだけに、佐分利信はいよいよ輝きを増す。今日でも、その点は同じかもしれない。困った問題が起きたときに、自分のことを心から心配してくれる人たちに相談しない。しないばかりか、ヤクザな連中に相談してしまう。それで、ますます泥沼にはまっては、信頼を寄せる人たちを泣かせてしまう。
映画ラストで、自分の不良行為がつぐないえない結果に至ったと思えた時の、少年の行動が見ものである。それが、またまた重大な結果になるのだが、それに対するチンピラと佐分利の対応が対照的である。そこに輸血が関係してくるのだが、当時の人々の「血」に対する見方が分かってオモシロイ。
また、少年の父親の病気と死から映画はスタートすると言っていいが、故人の「霊」「遺志」が丁重に扱われていく。それなくしては、いくら旧友とはいえ、不良少年を引き取ることにはならなかっただろう。故人は死んだとはいえ、生き残った者らに影響を与えていく。
当方に言わせれば、「不良少年更生の物語」であり、「霊」と「血」に対する当時の見方が分かる映画である。
https://www.youtube.com/watch?v=GLeQfyo-z94
『都会の奔流』というタイトルだけでは、何の映画か分からない。都会生活、都会人の暮らしの一断面を描いているのだろうくらいは想像できる。都会ならではの何らかのゴタゴタに巻き込まれて苦しむ話だろうかなど思いを巡らすこともできるが、よく分からない。
カンタンにまとめれば、「不良少年の更生の物語」である。
少年とはいえ、大学生である。この映画でも主演の佐分利信はかっこよさを独り占めである。知人の舎弟(三井秀男:後の三井弘次)を自宅にひきとり、真人間になるよう助ける。
聞く耳をもたなければ、信頼を得て聴く耳をもつようになるまで待つ。しっかり自制を保ち、おだやかに親切に接する。すこしでも良い変化を遂げれば、すなおに喜ぶ。信頼を大きく裏切られても、自分の預かった人間の不祥事は自分の責任として、潔く受け入れる。
不良少年が、どうしようもないダメ人間であるだけに、佐分利信はいよいよ輝きを増す。今日でも、その点は同じかもしれない。困った問題が起きたときに、自分のことを心から心配してくれる人たちに相談しない。しないばかりか、ヤクザな連中に相談してしまう。それで、ますます泥沼にはまっては、信頼を寄せる人たちを泣かせてしまう。
映画ラストで、自分の不良行為がつぐないえない結果に至ったと思えた時の、少年の行動が見ものである。それが、またまた重大な結果になるのだが、それに対するチンピラと佐分利の対応が対照的である。そこに輸血が関係してくるのだが、当時の人々の「血」に対する見方が分かってオモシロイ。
また、少年の父親の病気と死から映画はスタートすると言っていいが、故人の「霊」「遺志」が丁重に扱われていく。それなくしては、いくら旧友とはいえ、不良少年を引き取ることにはならなかっただろう。故人は死んだとはいえ、生き残った者らに影響を与えていく。
当方に言わせれば、「不良少年更生の物語」であり、「霊」と「血」に対する当時の見方が分かる映画である。