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李香蘭(山口淑子)主演『私の鶯』(わたしのうぐいす)1942年 を見る [ドラマ]

My Nightingale(1943)
https://www.youtube.com/watch?v=g8eSdBDfDGA&t=68s

『私の鶯(わたしのうぐいす)』 を見た。

「ウィキペディア」の同項目を見ると、ロシア語のタイトル(Мой соловей)が併記されている。実際のところ、台詞にロシア語が多用されている。日本語はわずかである。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%81%E3%81%AE%E9%B6%AF

李香蘭こと山口淑子は、日本人の娘でありながら、ロシア人声楽家の「娘」として育てられた設定になっている。

当該映画について「ウィキペディア」には「ロシア革命から満州事変・満州国成立にかけてのハルビンの白系ロシア人社会が主要な舞台」と示されている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%81%E3%81%AE%E9%B6%AF

ちなみに、白系ロシア人とは「ロシア革命後、これに反対して国外に亡命したロシア人のこと(ウィキペディア)」だそうである。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E7%B3%BB%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E4%BA%BA


内容を、当方なりに煎じ詰めるなら、日本軍歓迎:日本軍万歳映画である。

・・と、書くといかにも軍事色のつよい旧軍賛美・翼賛的内容のいやらしさを感じる向きもあろうかと思うが、そうではない。

ロシア人の多くは亡命者である。革命を逃れて極東にやってきた。彼らは、庇護してくれる国家を必要としている。逃れた先が紛争地域であれば、自分たちを守ってくれる何かが必用だ。そうでなければ、やむをえず自衛するしか手立てはない。そうした切迫した状況が示される。

彼らは、ただの武装集団ではなく、庇護を求める弱者を尊厳と品位をもってあつかい守ってくれる、組織だてられ秩序のある武装集団を必要としていた。そこに満州国を建設する大日本帝国の組織された軍隊がやってきた・・、万々歳 !! という話である。

その気持ちは理解できる。むかし読んだ安倍公房の『けものたちは故郷をめざす』を思い出しながら見ていた。その本からは、終戦時に大陸から日本へ戻ることが、どれほど大変なことだったか、そして、国籍というものの有難さと危うさを知る機会となった。

ハルビン駅など、ハルビンの主要施設の映像が字幕入りで紹介される。李香蘭の「父親」の主宰団体のオペラ上演の模様もでる。李香蘭も父から勧められて歌う。いわば、ミュージカル映画と言ってもいい内容である。


以下は、当該映画の上映会(慶応大学文学部創設125周年記念行事)を見に出かけた方の報告。

【山口淑子=李香蘭】満州映画の『私の鶯』は不思議な作品 前篇
https://ameblo.jp/japanreal/entry-12508148621.html

【山口淑子=李香蘭】後篇 満州映画の『私の鶯』は不思議な作品
https://ameblo.jp/japanreal/entry-12508148638.html





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